カン、カン

概要

2002年8月、2ちゃんねるオカルト板のスレッドに投稿された、幼い時に経験した出来事として始まる話。

小学生だった投稿者は母・姉・妹と小さなアパートに住んでいた。ある夜、居間の方から「カン、カン」と金属音のような音が聞こえたので投稿者と姉で居間へ行く事にした。

居間で二人が見たものは、居間の中央にあるテーブルに座る背を向けた人影だった。腰まで伸びた髪、細身の体格、白い浴衣のような着物などから女性とすぐに分かった。

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驚いた投稿者は姉を残して寝室の母を起こしに向かい、起きた母を居間へ連れて行った。しかし、不気味な女性はいなくなり、テーブルを虚ろな目で見ている姉だけがいた。母は寝ぼけていたのだろうと思ったのか、二人を寝室に促してその日は就寝した。

この頃から姉は投稿者に冷たい態度を取るようになっていった。

時は過ぎ、姉は県外の高校へ進学し寮生活、投稿者は中学生になり受験勉強を始めていた。ある日、夜中まで投稿者が自分の部屋で勉強していると、扉の向こうから「カン、カン」と金属音がした。

幼い頃の恐怖を思いだした投稿者は、隣の部屋で寝ている妹を起こそうと壁を叩いて呼びかけたが反応はなく、母親も早寝していたため恐る恐る一人で居間へ向かった。

すると、あの日と同じように不気味な女性が背を向け座っていたので思わず声を出してしまった。振り返った女性の両眼には鉄釘が打ち込まれており、両手には鈍器のような物が握られていた。その女性は投稿者に向かって、

「あなたも…あなたの家族もお終いね。ふふふ」

と言った。

次の日、投稿者が気が付くと自分のベットで寝ていた。昨日の事を母や妹に聞いても知らないと言われ、取り合ってくれなかった。

しかし、異変はその日に起こる。夕方学校から帰ると、いつも時間的にキッチンにいるはずの母がいない。玄関で母を呼んだが部屋に人がいる気配すらない。

珍しい事もあるもんだなと思いながら家に上がろうとした時「カン、カン」と居間から金属音が聞こえた。その瞬間、恐怖を感じ家を飛び出した。

投稿者は無意識に母親を探しに近所のスーパーまで走っていたが、冷静に考えると反応がなかったのは母親が家で寝ていたのかもしれないと思い、スーパー脇にある公衆電話から自宅に電話する事にした。

何度かコール音が鳴った後、母親が電話に出ていつものように会話が続いた。その時、ふと気が付いたのは不気味な女性がいるはずの居間で母親が電話を受けている事だった。

違和感を感じた投稿者は、

「あなた、誰なの?」

と言葉を絞り出した。

すると

「え?誰って…あなたのお母さんよ。ふふふ」

この投稿の後、掲示板では「そのアパートに帰ったの?」という質問に対し「次の日に姉と帰りました。その後の話もあるのですが、やや蛇足気味になるのでやめときます。」と投稿者は答えた。これを最後に投稿は途絶える。

最初の投稿から8年後の2010年1月、その後の話が投稿される。投稿は、またも恐ろしい出来事があったとの始まりだった。

現在、アパートには母と妹が住んでおり、2つ上の姉は実家から離れた場所で就職し、投稿者は隣県の大学へ進学した。父親は単身赴任で8年前と変わらず全国を転々としていた。

投稿者は昔の恐怖体験から実家に帰る事を拒んでいたが、今年は実家に姉と父が帰ってくるという事もあり渋々帰省する。

実家に帰ると変わった様子もなく安心した。すると、姉が今まで冷たい態度を取ってきた事を謝ってきた。理由を聞くと仕事から帰宅した時に「カン、カン」という金属音だけを聞いた事を話してきた。

さらに姉は、

「あなたお母さんの事、妹から聞いてないの?」

と続けた。

投稿者は妹に母親の事を詳しく聞くと、夜中の決まった時間に外に出て行くという。

妹は

「何なら一緒に見る?」

と言った。

妹が言うには母親は深夜1時頃に家を出て10分程で帰ってくるらしく、母親にその事を聞いても

「何のこと?」

という反応だとか。

その日の夜、家を出て行く母親を尾行する事にする。家を出て行く母親を追いかけると、実家から100mほど進んだところで、路地を照らす街灯の下の電柱の周りをかなりの速さでグルグル回っていた。その顔は昼間に見せていた優しい表情はなく、般若のような鬼の形相にしか見えなかった。

投稿者は母親の姿を見て「あなたも…あなたの家族もお終いね。ふふふ」という言葉を思い出していた。

妹より一足先に帰ってきた投稿者は居間の明かりを点けようとした時「カン、カン」と金属音が鳴った。「あっ!」と思った瞬間、電気をつけてしまった。そこには明りに照らされた居間に背を向けた不気味な女性がいた。

無意識のうちに再び電気を消した時、玄関から物音がした。妹かなとも思ったが、近づいてくる気配に妹ではない何かという事を感じ取った時「カン、カン」と金属音が鳴りその瞬間気を失った。意識が遠のく中、何者かに肩を掴まれたのを感じた。

次の日、なぜか妹の部屋で目覚めた。姉と妹に肩を掴んだのか尋ねたが、一切ないとの返答だった。しかも、妹が帰ってきた時には母親はまだ帰宅していなかったらしい。

妹曰く、母の異常な行動は現在でも続いている。妹は父に内緒で精神科に相談したり、お祓いなどしてもらったが効果はなかった。

現在、投稿者はあの不気味な女性に恐怖と同時に「全部あの女のせいだ」との思いがあるという。なるべく早いうちに父に打ち明け、アパートを引き払う事を検討していると投稿して終わっている。

解説・考察

この話は不気味な女性の正体が結果的に分からずに終わっている。両眼に鉄釘が打ち込まれているなど容姿は語られているが「カン、カン」という金属音の正体も不明のまま。

「カン、カン」という金属音に関しては、女性の両眼に鉄釘が打ち込まれている事から丑の刻参りに関係しているのではないかという意見もある。

また、投稿者が呪われたアパートに住んでいるのか、土地自体に何かあるのかは投稿の内容で触れられていない。特に説明のない怖い話として語り継がれている。

住んでいる家に突然現れた不気味な女性という身近な恐怖と詳細不明な多くの謎が、様々な事を想起させる。8年後に投稿者が近況を報告したのかも謎で、2ちゃんねるの洒落怖で有名な投稿となっている。

個人の感想

長文なので最後まで読むのには根気がいるが、読み進めているとジワジワと怖くなってくる構成。家の居間に不気味な女性がいるという日常的な部分が怖い。

謎が多いだけに、もっと細かい部分と結末が気になる話。全文を読むと細かい表現描写が、さらに怖さを引き立てています。

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