事件概要
1998年11月24日午後11時頃、三重県伊勢市の伊勢文化舎を退社したのを最後に女性記者(当時24歳)が行方不明となった。
翌日、市内の保険会社駐車場から連絡を受けた伊勢警察署が、女性記者の乗用車が保険会社の駐車場に放置されているので動かすように女性記者の実家に連絡する。
家族は女性記者の会社に連絡するが出勤していないとの返答に、初めて娘が消息不明になったと知る。
職業柄、女性記者は夜遅くまで原稿を書く事もあったため、実家や職場の人も当初はあまり心配していなかった様子だったという。
放置された乗用車のドアはロックされ、中に女性記者の携帯電話などの所持品はなかった。また、タバコを吸わないはずの女性記者の乗用車の灰皿に1本吸い殻が残されていた事や座席が下げられていた事、普段つけっぱなしのカーステレオが切られていた事など不審な点が多くあった。
家族は事件として捜査を求めたが、警察は家出人だとして積極的に捜査する事はなかった。しかし、三重県警が捜査で失踪当日に、ある男性が女性記者に4回も電話を掛けている事を通話記録から発見し、女性記者と最後に会っていた人物を特定した。
当時、三重県では大型プロジェクトが進められており、取材のため東紀州に詳しい人を女性記者は探していた。そこで尾鷲市が隣接する海山町(2016年に地方自治区廃止)に住む男性を女性記者は尾鷲市役所に紹介されたという。その最後に会っていたと思われる男性は、地元で青年会議所副理事長も務めており女性記者は信頼を寄せていた。
警察は1999年1月26日に男性を任意同行して取り調べを行った。失踪当日、男性は女性記者と自分の車で1~2時間ほど会っていたと認め、理由として昔の話で謝りたい事があったと証言、その後は県道沿いの道で降ろしただけで失踪とは関係がないと主張した。三重県警はアリバイがない事から、家宅捜索までしたが物的証拠や目撃情報もなく逮捕には至らなかった。
その後、逮捕監禁容疑の別件で男性を逮捕するも一審で無罪判決、検察は控訴せず確定。その際の男性への違法な取り調べが問題となり、男性は国に対して賠償請求を提訴した。後に男性自身が訴えを取り下げている。
結果的に行方不明になった女性記者は現在でも見つかっていない。
不可解な点
- 女性記者の乗用車の謎。保険会社の駐車場に放置されていた女性記者の乗用車は駐車ラインに関係なく止められていた。家族の証言では、几帳面な性格なのでそのような雑な止め方はしないと証言している。これは女性記者以外の人物が駐車した可能性がある。
- なぜ乗用車に女性の持ち物がなかったのか。短い時間乗用車を離れるなら何かしら持ち物は残るはずだが、全くないのはおかしい。これは長時間乗用車を離れる用事があったか、第三者が持ち物を持ち去った可能性がある。
- 勾留中に男性が失踪女性の事を話すとした書類を送った理由。男性が逮捕監禁容疑の裁判で無罪になれば、女性記者の事を話すと弁護士の署名入り書類を女性記者の家族宛に送っている。その後、男性は義理の兄を通じて女性記者の家族と会うことを拒否している。なぜ関係のない事件で無罪になると女性記者の事を話すのか理由が不明。
- なぜ警察はすぐに捜査を始めなかったのか。結果的に捜査するのに1ヶ月遅れており、初動捜査が遅れたため見逃した証拠があった可能性もある。
推論・噂
この事件に対して、やはり女性記者と最後に会っていた男性に注目が集まっている。普通に考えたらその男性が怪しいと思うが、警察は証拠も集められず立件も出来なかった事から、一方的に男性が犯人であるとも言えず、警察の初動捜査の遅れや違法な取り調べがこの事件の大きな問題となった。
ネットでは様々な噂があり、2008年9月には北朝鮮で女性記者の話を聞いたとの情報があり北朝鮮拉致説も流れたが、現在では情報源の人物も人違いだったと認めたために有力な説ではなくなっている。
また、売春島とも呼ばれた志摩市の渡鹿野島を取材していたために消されたのではないかとネットで噂されたが、女性記者の周囲の人々はそんな取材はしていないと否定した。ちなみに、2013年9月には志摩市も渡鹿野島を健全なイメージに変えると宣言し、時代と共に島の風景は変わっている。
他にも失踪直前に行ったタイの難民キャンプの男性と逃避行に出たという説、漁業権の取材でトラブルに巻き込まれた説など噂されるが、確たる証拠もなく詳細は不明となている。
個人の感想
事件の経過を見ていると、やはり最後に会った人物が怪しいと思うのが普通。しかし、男性は起訴されず、他に関係している人物が逮捕されたという情報もない。
非常に奇妙なのは捜査に進展がない事だ。何だかんだいって女性記者は失踪する直前の行動まで把握されているはずが、一切捜査に進展がないのは謎。やはり、初動捜査の遅れが関係しているのかなと勘ぐってしまう。
ネットでは様々な説が噂されているが、調べてみるとあまり根拠のない話が多かったと感じた。とにかく、少しでも女性記者の情報が警察に寄せられるといいなと思う。
失踪した女性記者の情報は伊勢警察署で現在でも受け付けている。
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