地下の井戸

概要

2008年1月、2ちゃんねるのオカルト板の洒落怖スレッドに投稿された話。怪談ではないと強調し「これを書いたら、昔の仲間は俺が誰だか分かると思う。」と書き込み、ある井戸の話を始める。

東京の某組織の若手幹部Nに雇われていたという投稿者は、仕事をしていくうちにNの舎弟であるSとKにも信頼されていくようになった。次第に投稿者はSとKに深夜に呼び出され、ワンボックスの車に何かを積んで運ぶ仕事も任されるようになる。

荷物を積む時は運転席にいるように言われた投稿者は、荷物を積み終わるとベンツの後をついて行き、荷物を下ろしたら離れたところで待ち、再びベンツについて帰り金を受け取り終わりという内容。

そんなある夜、呼び出されて行くとSとKの他に某組織の若手幹部Nがいた。3人は緊張してイラついている様子で何かを積んだ後、いつもは投稿者1人で運転するのだが今回はSとKが同乗してきた。

ベンツについて行き首都高に入り目的地に着くと、若手幹部Nが乗っているベンツは走り去っていった。いつもと違い荷下ろしを手伝わされた投稿者は、SとKの担ぎ上げている袋を見て明らかに死体袋で中は人間としか思えなかったという。

Sに指示され金網の扉を開け暗闇の中、ライトを点け先に進みいくつかの扉を開けていくと「無断立入厳禁防衛施設庁」と書かれた鉄扉に当たった。

中に入り階段をひたすら下りると、「帝国陸軍第十三号坑道」と書いている扉を発見する。3人は疲労と緊張から休憩する事にするが、再び進むため袋を担ぎ上げた時に袋が暴れ出した。

Sは驚き手を離した拍子に袋から猿ぐつわを噛まされた小太りな男が顔を見せた。SとKは袋を蹴り大人しくさせると、小太りな男を袋に戻した。Sは更に何度か蹴った後、

「このくらいかな。殺しちゃまずいからな。」

と言って投稿者の顔を見た。

Sは袋の中を見たのかと投稿者に尋ねるが、

「いえ…突然のだったんで、何が何だか。」

と返し、再び3人で袋を担ぎ上げ先に進んだ。

しばらく進み階段を下りると、「帝国陸軍」、「帝国陸軍126号井戸(128かも)」と書いてある扉にたどり着く。

中に入ると小学校の教室ぐらいの広さで、真ん中に鉄の蓋をされた井戸があった。投稿者は指示されるまま鎖を引いて蓋を開け、SとKは袋を抱き上げ井戸に落とした。

SとKに井戸の中を覗けというジェスチャーをされ、投稿者はライトで井戸の奥を見てみた。そこに現れたのは真っ白い手と頭髪のない真っ白い頭頂部。しかも2体いる。呆然とその光景を眺めていると、その頭が上を向いた。その顔には目がなく、小さな穴がついているだけ。しかも、複数のうごめく気配がする。

その光景に固まる3人だったが、急に扉が開き若手幹部Nが入ってきた。

「S、もう済んだか」

とNが言うと

「済みました」

とSがすぐに答えた。何かを察したNは

「見たのか、中を」

と言ったが3人は何も答える事ができなかった。若手幹部Nは

「さっさと蓋閉めろ、余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」

と言い、3人で蓋を閉めて来た道を戻り車で道に出た。行きとは違い若手幹部Nの車にSとKが乗車していたが、3人を見たのはそれが最後となった。

投稿者は思い出していた、袋に入っていた人物が最近出所してきた会長の三男だった事を。2、3回顔を合わせた事はあったが威張り散らしていて印象は良くなかった。だとしても、会長の息子を殺すのはアウト。

あの出来事から2週間くらいすると、若手幹部Nの行方が分からなくなった。

Sからは

「お前も姿をくらませ!」

との電話があり、会長の息子を殺した事がバレたんだなと感じた。組織から距離を置いていた投稿者は助かり、SやKの行方も不明だとか。

あれから数年、投稿者は人の多い土地を転々としている。この投稿はあるネットカフェで書き込まれたとされている。

時代もネットカフェで身分証明書が必要となる時代に入り、投稿者はこれが書き込める最後のチャンスだと語り、

「なぜあの井戸に暴力団なんかが鍵を持って入れるのか誰か突き止めてほしい。そうすれば、組織の人間は捕まり俺は助かるかもしれない。俺はこれからも逃げ続けるつもりだ。」

と書き込み投稿は終えている。

解説・考察

暴力団に雇われて恐怖体験をしたという男の投稿。裏の仕事の体験談だが、少し現実味がないため映画の脚本のような構成になっている怪談。あえて最初に怪談でない事を強調しているところも創作感が強いといわれている。

この話で注目されるのは地下坑道と思われる「帝国陸軍第十三号坑道」。ネットなどでは場所の特定のために行動を起こした人物までいるらしいが、結果的に場所は分かっていない。

さらに、井戸の底で見た人のような姿をしている謎の生物。おそらく、帝国陸軍の実験体にされた人間の姿であると想起させるような表現になっている。

実際は「帝国陸軍第十三号坑道」も人間のような謎の生物も存在せず、2ちゃんねるのオカルト板での創作された怪談話であると考えられている。

個人の感想

井戸の話なので最初は井戸から何かが現れるといった話かと思い読んでみると、意外と井戸の話は少なくて闇仕事の恐怖といった内容。井戸の下にいる生物の細かい説明がないので、そっちの方が気になる展開。

書き込みも結構長めで、怖い怪談かと言われると個人的にはそうでもなかった。あと、都市伝説や陰謀論でよく登場する帝国陸軍が出てくるのは面白かった。原文は細かい表現もあるので興味ある人は一読して下さい。

投稿自体は創作だと思うが、ネットで場所を探している人のブログがあって興味深く読ませてもらった。

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